フラットワウンド弦のテンション

フラットワウンド弦はテンションが高い

フラットワウンド弦は、ラウンドワウンド弦に比べてテンションが高めです。
ラウンドワウンド弦の1ゲージ上相当、とまではいきませんが、
実際にテンションが高くなります

具体的に見てみます。
ダダリオで、ラウンドワウンド弦とフラットワウンド弦の張力を比較します。

ミディアムゲージ
1弦 2弦 3弦 4弦 合計 (kgf)
ラウンドワウンド弦 EXL160 24.22 27.26 21.95 18.28 91.71
フラットワウンド弦 ECB82 24.94 27.3 22.77 18.82 93.83
レギュラーライトゲージ
1弦 2弦 3弦 4弦 合計 (kgf)
ラウンドワウンド弦 EXL170 19.41 23.27 19.05 16.55 78.28
フラットワウンド弦 ECB81 20.73 23.58 19.82 17.41 81.54

2~3kgほどの差ですが、
実際にフラットワウンド弦のテンションが高くなっています。

同じゲージで、ラウンドワウンド弦→フラットワウンド弦に張り替えると、
まずペグを回す力加減が変わったことに気がつきます。
続いて、ネックの順反り傾向が強くなります。
つまり、強くなった弦の張力にネックが負けてくるのです。

ある程度は、トラスロッドで調整することもできます。
でも、ネックが弱いベースにヘビーゲージのフラットワウンド弦を張ったりすると、
どれだけトラスロッドを締めようが、ひどい順反りになります。
というか、ネックを痛めます

私はかつて、フラットワウンド弦を張ってトラスロッドを締め続けた結果、
ベースを1本ダメにしてしまいました。
まぁ、これはフラットワウンド弦だからというわけではなく、
完全に私のせいなんですが。

テンションが高くなる理由

フラットワウンド弦のテンションがラウンドワウンド弦に比べて高くなる原因は、
フラットワウンド弦自体の構造にあります。

そもそも、ワウンド弦とは、
芯線の周りに巻線を巻きつけていき、1本の弦としたものです。
ベースのように太い弦では、
巻線が2重に巻かれている等、多層構造になっていることが多いです。
フラットワウンド弦は、断面が四角形状の巻線で芯線を巻いているので、
ラウンドワウンド弦に比べて、巻線間の隙間が小さくなります。
つまり、フラットワウンド弦のほうが、
構造上、線密度(単位長さあたりの密度)が高くなりやすい
のです。

ちなみに、弦から発せられる音の周波数は、張力/線密度の1/2乗に比例します。
同じ音にチューニングするには、
弦の線密度の高さに比例して、張力を上げていく必要があるわけです。
つまり、弦の線密度が高くなりやすい構造のフラットワウンド弦は、
その密度比の分だけ、高いテンションにセッティングする必要がある、
というわけです。

フラットワウンド弦の表面はほとんど平滑なのに対して、
ラウンドワウンド弦の表面は山あり谷ありの状態です。
ゲージというのは、弦の外径を表したものです。
ラウンドワウンド弦では、
外周の巻線の山の部分で外径を測っていることになります。
少なくとも、
ラウンドワウンド弦で表面がザラザラだと感じている分だけ、線密度は低く、
逆に、フラットワウンド弦で表面がツルツルだと感じている分だけ、
線密度は高いのです。
その線密度の違いが、そのままテンションの差になります。

厳密には、芯線の太さや巻線間隔等、弦の内部構造にもよるので、
表面状態だけで弦の線密度を特定することはできません。
でも、フラットワウンド弦のテンションが高くなる理由について、
感覚的にわかりやすい部分だとは思います。

テンションを抑えるために

フラットワウンド弦の強いテンションが気になる場合は、1段階細いゲージを選ぶか、
ちょっと変わった構造の弦を試してみたほうがいいと思います。

たとえば、トマスティックのJF344は、
芯線の周りに糸を巻いて、その周りにラウンド巻線、
一番外側だけフラット巻線という特殊な構造なので、非常にテンションが弱いです。

どのくらい弱いのかといえば、ダダリオのラウンドワウンド弦を比較対象とすると、
スーパーライトゲージEXL220以下です。
レギュラーチューニングにおけるEXL220の張力が67.57kgfなのに対して、
JF344では63.6kgfしかありません
ただ、トマスティックの弦はいい値段しますけどね。

単純に、細いゲージを選択するのもいい方法です。
ゲージを細くすることに拒否反応を示す人もいますが、
ゲージとは、あくまでも弦の直径を表したものにすぎません。
同じゲージでも、弦の種類やメーカーによってテンションは大きく変わります
弦の太さに固執する意味はないと思います。

楽器なので、楽しい音が出ればそれでいいんじゃないでしょうか。

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